お金・資産運用

【豊かに生きるための秘訣】ピケティの「21世紀の資本」からわかる投資の必要性

  • AIに仕事を奪われるって本当なの?
  • 最近投資が話題になっているのはなんで?
  • 格差って広がっているの?

あなたは【21世紀の資本】という本をご存じでしょうか?

フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の著書で、世界的に大ベストセラーとなっています。この本では、

  • かつての経済学の定説は通用しないこと
  • 資本と経済の成長格差は広がり続けていること
  • たった数%の富裕層が国全体の富のほとんどを保有していること
  • 数十年単位で雇用やライフスタイルに変化が訪れていること

などが述べられており、これからあなたが何をするべきなのかを考えるきっかけを与えてくれます。

あらたパパ

私もこれからの人生を考えるきっかけになりました!

著者のプロフィール

フランスの経済学者:トマ・ピケティ。

22歳でフランスの優秀若手経済学者賞を受賞し、アメリカ屈指の名門、マサチューセッツ工科大学でも教鞭をとった、経済学のエリート。

作品の背景と概要

ピケティは当時の経済学に対して疑問を抱き、経済学の枠に捉われずに広い視点で議論したいと願っていました。

格差について、かつての経済学では、

  • 格差は経済成長とともに自然に収斂する
  • 経済が成長している限り、真面目に働いていれば誰もが豊かになる
  • 経済の成長と共に格差は次第に縮小していく

と言われていました。

しかし、ピケティは【r:資本収益率>g:経済成長率】という公式を導き出し、この公式は歴史的に変わらない事実であり、今後、この格差はさらに拡大していく」と唱えました。

つまり、労働者が豊かになるスピードは、資本家が資本を増やすスピードに追いつくことはないということです。

歴史的な数値でみると【r:資本収益率】は4~5%で安定し【g:経済成長率】は1%程度で安定しています。

今までの経済学では、格差について「労働所得」に焦点を当てていましたが、これに対してピケティが着目したのは「資本所得」でした。

何故なら、資本の規模は労働所得よりも相対的に大きいからです。

(引用|週刊現代:実はみんな読み切れない トマ・ピケティ『21世紀の資本』を簡単図解 恥をかかないために

この【21世紀の資本】は、ピケティが世界各国3世紀に亘るデータを15年かけて調査研究した成果であり、世界中の人々が資本主義への疑問や格差への関心を高めるきっかけとなりました。

資本所得の格差

資本力について3つに分けるとすると「上位層(富裕層)」「中間層」「下位層(貧困層)」となります。

日本人のほとんどは、「ある程度の生活を維持できているレベル」つまり「中間層」ということになります。

その大多数を占めるはずの「中間層」が、「国の資本全体の大半を占める」かといったらそうではありません。

最も格差の大きいアメリカでは、上位10%の富裕層が国の資本全体の72%を占め、下位50%の層は資本全体のたった2%を分け合っています。(2010年)

(引用|21世紀の資本)

資本は、投下する規模が大きいほど収益率が高く、その一例が大学基金の運用実績です。

1980年から2010年の全米の大学基金の資本収益率の平均は8.2%。

その中身は株や債券、先物や商品取引など様々な投資に回されており、しかも、基金に3億ドル(3000億円以上)を有するハーバード大学など、投資規模が大きい大学ほど収益率が高くなっています。

つまり、【r:資本収益率>g:経済成長率】で且つ、資本が大きいほど【r:資本収益率】が高い値になるということです。

資本が大きければ大きいほど、効率良く資産を増やすことができます。その分、富裕層の富は庶民を引き離しているということです。

FRB(米国連邦準備制度理事会)の2020年上半期のデータでは、米国の上位層50人が持つ資産額と、下位層1億6500万人が持つ資産額は、ほぼ同じだった。

労働所得の格差

【r:資本収益率>g:経済成長率】ということは、所得において、労働所得に比べ、資本所得の割合が継続して増え続けることを意味しています。

そして富裕国ではそれを止める自然なメカニズムは存在しません。

なぜなら先進国では技術が進歩し、労働が生み出す価値が高まるのと平行して、産業用ロボットなどの「資本が労働を代替する手段」がますます増え、その効果も高くなっているからです。

(引用|週刊現代:実はみんな読み切れない トマ・ピケティ『21世紀の資本』を簡単図解 恥をかかないために

アメリカの過去100年を見ると、格差が低く安定していた1950年以降でも、上位10%の富裕層が国全体の労働所得の32%を占めており、それと引き換えに下位50%の人々は国全体の労働所得の25%を分け合っています。

(引用|21世紀の資本)

現代では「スーパー経営者」と呼ばれる、超高額報酬を得る経営トップや役員が登場したことにより、さらに格差は広がっています。

(引用|21世紀の資本)

2020年のフォーブス誌の発表した億万長者リストを見ると

  • ジェフベゾス(Amazon) 1790億ドル(約19兆円)
  • ビルゲイツ(Microsoft) 1110億ドル(約12兆円)
  • マークザッカーバーグ(Facebook) 850億ドル(約9兆円)

となっています。

(引用|https://www.forbes.com/forbes-400/#74af64d37e2f

経済成長の変化

この300年での世界の経済成長率は平均で1.6%に過ぎず、そのうちの半分(0.8%)は人口が増加して労働者の数自体が増えたことが要因です。

つまり、技術の進歩によって生じた経済成長率はわずか0.8%しかありません。

しかし、「それしか成長していないのか」というと、そんなこともありません。

それでも(1.6%でも)十分に高いと言える理由は「累積成長の法則」にあます。この法則は、小さい割合でも、掛け算で増えていけば将来大きな成果になる、ということです。(複利と同じです)

仮に年率1.5%の成長を30年間累積すれば、その成長は56%にもなります。これは、30年前に比べ、一人が1.5人分の働きをする時代になった(人口にもよるが)とも言え、ライフスタイルや雇用に劇的な変化をもたらしていることを意味しています。

例えば、1980年代にはインターネットや携帯電話網も無く、先進医療技術の多くもまだ存在していませんでした。しかし、世界は少しずつ成長し続け、今ではそれらは当たり前になっています。

わずか1.5%の成長でも、30年という長い年月をかけると、累積された大きな成長となるのです。

まとめと考察

平凡な会社員として働いている私は、「大きな格差」に出くわすきっかけもなく、格差というものを意識することはほとんどありませんでした。

メディアで取り上げられるような「大富豪」と呼ばれる人たちは、どこか現実味が無く「格差の対象」として見ることもなかったからです。

しかし現実として、ピケティの研究の通り、格差は歴史的に広がり続けています。

ピケティは、この事実を伝え、人々を悲観させたかった訳ではありません。

基本的には国レベルの話であり、税制や社会保障、技術や教育といった国の政策への訴えです。(この記事では触れていませんが、ピケティは世界的に格差抑制に効果のある政策など、多くの提案をしています)

そして当然、労働者に対して『【r:資本収益率>g:経済成長率】だからといって、働くことを疎かにして良い』とも言っていません。

資本所得について【誰でも簡単に投資ができる恵まれた時代】

「上位層」には株式を保有しているという共通点があります

これは、お金持ちだから株が買えるわけではなく、株を買うから資産が増えて、その結果、株を持たない人たちとの間で格差が拡大するということです。

「中間層」である人たちにとって、今すぐに「上位層(富裕層:資本家)」になることは不可能です。

ですが、少しずつ時間を掛けて「資本家になっていく」ことは可能です。

幸い、現代ではネット証券を通じて資産(株・債券・金・不動産など)を購入でき、誰でも簡単に投資をすることが出来ます。数年前では考えられないほど恵まれた環境になっています。

つまり、上位層でなくても【r:資本収益率】の恩恵を享受できる環境があるということです。

収入の一部を毎月愚直に積み立てしていけば、将来は大きな成果になります。

スーパー経営者のような超がつくほどの大金持ちになることはできませんが、これからの生活や、将来の老後生活を有意義に過ごすために必要なお金を増やしていくことは可能です。

このような恵まれた環境の現代においては、【r:資本収益】の値が【g:経済成長率(労働収入)】に比べて大きなことは、労働者にとって直接的なデメリットではないということです。

長期的に【r:資本収益】に投資を続けていれば、労働による所得だけでなく資本による所得もどんどん増えていく。

つまり、労働者は所得の柱をもうひとつ増やすことができるということです。

労働所得について【自己投資は自分と家族を守る】

長い目で見て、個人として労働賃金の格差を減らす最善の方法は「自己投資」です。

前述の通り、「年率1.5%の成長により、30年後には1.5人分の仕事が出来ている」ということは、逆に言えば「人的資本の1/3は不要になる」とも考えられます。

つまり、現在では当たり前の仕事も、30年後にはその1/3は無くなっている可能性があるという視点を持つことが大切ではないでしょうか。

30年前、単純作業の多くは人々の手作業によるものだったと思います。

しかし、技術の革新により、現代では手作業だったものの多くはロボットへと代替されています。

当時では考えられないほど技術は進歩し、その代わりに多くの人が職を失っていったはずです。

『AIにほとんどの仕事は奪われる』最近ではこんなニュースをよく目にします。

「そんな訳ない」「すぐには訪れない」いつまでもそう思っていて良いのでしょうか?

技術は累積して成長を続けています。

私たち個人は、早い段階でスキルを磨いておく必要があるのではないでしょうか。

「替えが効かない人」「アイデアを生み出す力がある人」になれなければ、時代に取り残されてしまいます。

日本の社会人の勉強時間は一日平均6分と言われています。

これは、世界的にみても圧倒的に低い値で、アジアでは最も低い値です。(※ほとんどの人が自己投資をせず、平均値を下げている)

逆に言えば、「一日6分以上自己投資をすれば簡単に平均を超える」ということです。

経済が累積して成長を遂げていくように、個人のスキルも累積していけば、いつか大きな成長へと繋がっていくはずです。

時代に乗り遅れないために、まずは一日6分だけでも自己投資をしてみてはいかがでしょうか。

「資産への投資」だけでなく、「自己投資」が今後の人生の最大の防御になるはずです。

毎日ちょっとずつ自己投資をしていこう!


資本所得も労働所得も格差が広がっていくなかで、私たち庶民は悲観するのではなく、こうした事実を受け止め、行動することが大切です。

今の自分に出来ることを堅実に考え、その中で自分なりの資本と労働のバランスを構築する。

そもそも、誰かと比べること自体、意味のあることでは無いはずです。

とはいえ、「資産への投資」と「自分への投資」を地道に続けていくことで、これからの人生を、今よりももっと豊かに変えていくことは可能ではないでしょうか。

【トマ・ピケティ|21世紀の資本】

【まんがでわかるピケティの「21世紀の資本」】

なんと映画化もされました!公式HP https://21shihonn.com/

映画予告編 https://www.youtube.com/watch?v=MSUaeBIOBwc

(参考元)